俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「…あっそ」



なにその反応…。
せっかく褒めてあげたのに損しちゃった気分だ。

そんな早乙女は間隔を空けてわたしの隣にしゃがんだ。



「…お前にビンタされて、なんかいろいろ考えちゃったんだよ俺」


「……いろいろ…?」


「うん。やっぱさ、政略結婚とかクソ食らえだろ?」



なんかすごいこと言ってきてる…。

え、この人って本当に早乙女 燐なの?
なんか……弱々しくない…?


確かに叩いちゃったけど、てっきりわたしはかなり怒ってるんじゃないかなって不安だったのに。



「普通に恋愛したいよね、俺だってまだ21だし」


「…うん。……えっ!!じゃあわたしたちの結婚は無くなるってこと…!?」



そうだよね!?
そーいうことだよね……!?

自由な恋愛を望んでるんだもんね……?


そうなるとお父さんだって早乙女側が破棄にしたってなれば文句は言えないだろうし…!



「悪いけどちょっと違う」


「………は?」


「だって俺、お前に惚れちゃったもん」



・・・・・・。


もしかしたら今日はこのあと雨じゃなくて槍が降ってくるかもしれない。

というより、こいつがもはや槍そのものなんじゃないかと。



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