俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
なにを言ってるの……この男は。
黒髪にして、なんかちょっと弱々しくなって、ちゃんとわたしの言い付けを守ってて。
それで……わたしに惚れた……?
「まさか俺を叩く女がいるなんて。従順じゃないからこそ手に入れたくなった」
「……お姉ちゃん、いま学校にいるよ、」
なんだったら今すぐにでも会わせたい。
少し更生してるっぽいから、これならお姉ちゃんとの婚約に戻せるんじゃないかなって。
……なんて、そんなの最低だよねわたし。
「アリサなんかどーでもいい。そうじゃなくてお前に会いにきたんだよ。───…エマ」
「……」
え、……困惑しかない。
それにどうでもいいってひどい。
「な、なにを企んでるの…?」
信じられるわけがない。
あんなにひどいこといっぱいしておいて、わたしに会いにきたって…。
そんなの信じるほうがおかしいもん。
それでまたわたしを何か陥れたいとか思ってるんじゃないの…?
「別に企んでないって。…お前に叩かれて意外とこたえてんだよ俺」
「た、叩かれるようなことしたの自分なのにっ」
「うん。だから別にそこは責めてないだろ」