俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




なにを言ってるの……この男は。

黒髪にして、なんかちょっと弱々しくなって、ちゃんとわたしの言い付けを守ってて。


それで……わたしに惚れた……?



「まさか俺を叩く女がいるなんて。従順じゃないからこそ手に入れたくなった」


「……お姉ちゃん、いま学校にいるよ、」



なんだったら今すぐにでも会わせたい。

少し更生してるっぽいから、これならお姉ちゃんとの婚約に戻せるんじゃないかなって。


……なんて、そんなの最低だよねわたし。



「アリサなんかどーでもいい。そうじゃなくてお前に会いにきたんだよ。───…エマ」


「……」



え、……困惑しかない。

それにどうでもいいってひどい。



「な、なにを企んでるの…?」



信じられるわけがない。

あんなにひどいこといっぱいしておいて、わたしに会いにきたって…。


そんなの信じるほうがおかしいもん。

それでまたわたしを何か陥れたいとか思ってるんじゃないの…?



「別に企んでないって。…お前に叩かれて意外とこたえてんだよ俺」


「た、叩かれるようなことしたの自分なのにっ」


「うん。だから別にそこは責めてないだろ」



< 242 / 340 >

この作品をシェア

pagetop