俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




サッと余計に距離を空けるわたしに、そいつは詰め寄る気もないらしいのだ。

それどころか困ったようにふっと力なく笑うオチ。


………え、本当なの……?

この人、本当に真面目に生きようとしてるの…?



「…ごめん。ネックレス、」


「ご、ごめんじゃないよ……!今更すぎる…」


「うん、そうだよな。許してもらおうとも思ってない。
…でもごめん、俺もあそこまでするつもりは無かったんだよ本当は」



…じゃあなんでしたの。

謝るくらいなら最初からしなきゃよかったのに…。


だけど本当に申し訳なさそうな顔してるから、逆にどんな反応すれば良いか分かんないよ……。



「…ムカついたから。ただのヤキモチ」


「…だれに…ムカついたの…?」


「…あのSランクがふざけたこと言うからだろ。だからそのときにはすでにエマのこと好きっぽかったんだよね俺」



こんな人なの……?

人って髪色が変わると性格まで変わっちゃうの…?


それに好きって……そんなに言われると少なくともあなた顔だけは良いからシンプルに照れる。



「まぁ…それだけ。俺と結婚したくなかったらやめてくれていいよ」


「…え、」


「したくないだろ、嫌いなやつとなんか」



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