俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
2人の男の隠れた優しさ
シャカシャカシャカシャカ───。
え、お茶を立てる音ってそんなに心地良い音が鳴るものなの…?
そんな素早く立てられるものなの…?
「素晴らしいお手前ね。合格よ」
茶碗を傾けて深く味わった茶道担当の先生は、静かに静かに頷いた。
目の前に姿勢よく正座するひとりの3年生徒は、ゆっくり微笑んで「ありがとうございます」の、一言。
そんなものを生徒に混ざって溶け込むように見つめるわたし。
「さっすがアリサさんね…!」
「完璧な動きですわ…!すご~いっ」
今日は茶道の実技テスト。
そんなわたしのクラスに成績優秀なお姉ちゃんが見本として披露してくれている今。
もちろんその隣には良くわかんない執事がいる。名前をハヤセ?だっけ?
なんかそんなやつがいるわけで。
「では皆さんもアリサさんを見習って合格を目指してくださいね」
「「「はい!」」」
見守るクラスメイトと執事の前で1人ずつ発表してゆく地獄の時間は始まった。
もちろん見本であるお姉ちゃんは朗らかな顔をして見つめていて、そいつもいる。
「よし、合格ね」
「ありがとうございます!」