俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
わ、理沙も合格しちゃった……。
そりゃそうだ、理沙って意外と全体的に成績が良いしツンツンしてる性格とは裏腹に器用だ。
そしてとうとう───
「あっ、わ、」
傾いたお椀、畳に飛び散るお茶。
「……不合格」
案の定ここにきて初めての不合格者が出ました。
お茶が飛び散った畳を見つめた先生、目の前に正座するわたしは足が痺れてしまってつらい。
だけどクラスメイトも最初から分かっていたように、冷たい目をわたしに送った。
「はっ、やっぱりね。アリサさんの前で何やってんのよ」
「あんな妹に面子潰されてアリサさんも可哀想~」
自分的には今まででいちばん上手にスムーズに進めていたと思うのに…。
それでも結果は結果。
プロから見たら最悪らしいのだ。
「で、でもっ!こぼしてなかったら───」
「基礎からなってない。茶筅の持ち方も駄目、回し方だって違うわ」
うっ……。
言い訳が許されるならば、たとえば誰か1人でも味方がいたら違ってたかもしれない。
執事でもなんだっていい、1人だけでも。
そんなおじいちゃんといえば……