俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
信じていた執事が簡単にお姉ちゃんのほうに行っちゃったのが大ダメージ。
それなのに今日の放課後みたいな行動をしてきて…。
だからおじいちゃんとお散歩する時間、わたしすごく好きなんだよ。
いろんなことが知れて、難しいこと考えなくて済む平和な時間なんだもん。
そんなとき、わたしたちの横を通った白い高級車の運転席の窓が開いた。
「───エマ?こんなとこで何してんの?」
「あっ!早乙女っ!おじいちゃんっ、ギックリ腰になっちゃって…!」
「え、乗って!」
説明するよりも先に後部座席のドアが開いて、気づけば乗っちゃってた…。
慣れない匂いとふかふかするシート、運転するのは早乙女 燐。
詳しいことはあと───とでも言うように、高級車はすぐに病院へ向かってくれた。
「しばらくは入院ですね。あとはこちらにお任せください」
「はい、よろしくお願いします」
ナースさんに軽く頭を下げたのは早乙女だった。
わたしは連れられるまま一緒に病院へ入って、おじいちゃんの診察結果を待って。
そしたら入院ということになっちゃって、本当におじいちゃんもいなくなっちゃうんだ…なんて落ち込む今。