俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「とりあえずもう暗いから送るよ」


「…ありがとう」


「それにしてもびっくりだ。少し見ないうちにSランクがかなり年取ってたから」



いやあれはハヤセじゃないんだけど…。

その言い方だとハヤセが玉手箱を空けちゃったみたいになってるよ早乙女。

でも、たぶんわたしを元気づけようとしてくれてるんだろうなぁ…。



「まぁいろいろ聞いてる。アリサ、俺たちのこと忘れちゃったんだろ」


「……うん、嫌いだったんだって…。早乙女のこと嫌いなのは分かるけど…」


「はは、確かに。俺も自分で当然だなって思うよ」



ねぇ肯定しないでよ…。

なんか本当に優しくなっちゃってるよ、早乙女。


今だってわたしを助手席には乗せないで後部座席に乗せたのはこの男だ。

近づかないっていう約束をギリギリまで守ってくれてる…。



「でも、あいつがアリサの執事になったのはさすがに驚いたけど」


「…お似合いだもん、あれが本来の形だよ」


「俺からすれば超ラッキーだよ」



思わず沈黙。

だってそんなの言葉を失うもん。

まだわたしは半信半疑だし、裏があるんじゃないのって疑っちゃってる。



< 264 / 340 >

この作品をシェア

pagetop