俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「はい、到着」


「……」


「あれ?寝てる?」



ううん、起きてる。

だけどなんかこのまま1人でマンションに帰らせられるのも寂しい…。


明日からまた執事がいない生活、誰が代わりになってくれるんだろうって待つ日々。

おじいちゃんはしばらく落ち着くまでは入院ということになって。



「早乙女、」


「ん?」


「…一緒に、ご飯……食べようよ」



なんでわたしこんなこと言ってるんだろう…。明日は空から鉄球でも降ってくるかもしれない。

でも今日は色々あったから1人じゃ嫌で、おじいちゃんの分も食事は用意されてるだろうから勿体ない。


だから誘ってみた。



「…俺と食べても不味いんじゃない?」


「ご、ご飯の味は変わらないからっ」


「じゃあ行く。せっかく好きな子から誘われちゃったし、ここで断るとか選択肢にないもん」



……なにそれ。

普通に嬉しい、誰かに好かれてるのって嬉しい。

こんなわたしのことを好きになってくれちゃったんだ…本当に。



「…わたしのどこが好きなの?」


「わかんない」



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