俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




それにハヤセが言った繋ぎ方を4人でしたとしても、結局はお姉ちゃんとハヤセは繋いでるわけで。

わたしと早乙女も繋いでるわけで。

スペースが横に広がって歩きづらくなるだけだと思うんだけど……。


今日のSランクエリート執事さんはちょっとだけおかしいみたいだ。



「…アリサ様、俺ではなくエマお嬢様と繋いではどうでしょうか」


「え…、」



そして今度また新しい提案をしてきた。

お姉ちゃんはどこか一瞬だけ黙り込んでしまって、少しの沈黙。


やっぱり嫌なのかな…。

わたしは全然いいけど、でも嫌われちゃってるからなぁ。



「そうすれば執事の俺たちは背後を守れますから。…そうだろ早乙女」


「おぉ、さすがSランク。上手くまとめたね。でも俺もそれは良い案だと思いますよお嬢様方」



するとお姉ちゃんは静かにうなずいて、わたしに手を差し出してくる。

それは昔の記憶の中にある優しいお姉ちゃんと重なって見えた。



「い、いいの…?」


「うん。…行こうエマちゃん」



ゆっくり繋いだ手。

ぎゅっと握ると、ぎこちなくも同じように返してくれて。


………ん?



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