俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「あーあ、お姉ちゃんも妹も両方泣かせちゃったよ俺」


「…エマを泣かせたの?」


「え?うん。すっごい泣かせたんだよな2回ほど」


「ふざけないで。私の妹に何してくれてんのよ」


「え?あれ?今までと空気感ちがくない?」



謝りたい。
エマに今すぐ謝りたい。

それで真冬くんにもお礼を言いたい。


私がいない間に妹を守ってくれて、誰よりの味方でいてくれてありがとう───って。


それで私の目の前にいる御曹司には───



「───…は?なんでアリサにも叩かれてんだよ俺」



それはもうバチンッ!!と、叩いてやった。


2回も妹を泣かせたなんて許せない。

あの子はいつも元気で賑やかだけど、本当は誰よりも繊細で臆病な心を持ってる子。

それは私が一番に知ってるもの。


でも、その役目もそろそろ誰かに譲らなきゃかな。



「それと燐、その髪色ぜんっぜん似合ってないわ。あなたは金髪がいい」


「……あっそ。…てかすごい痛いんだけど」


「ふふっ、腫れてるもの」


「でもアリサ、お前もすっごいブサイクな顔してるから」


「…もう1発殴らせて」


「まじ勘弁」



そして、この男の優しいところが見れたのも初めてだった。

それもきっと、エマのおかげだね。



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