俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
ほらやっぱりハヤセはわたしの扱いが上手すぎる。
わたしを丁寧に器用に動かして、どんどんあなた好みのお嬢様にさせられてるもん。
「───…愛してる、エマ」
「っ!わわっ!」
「ふっ、“わわっ”て」
「あー笑った!馬鹿にするなっ」
恥ずかしい…。
でも恥ずかしさは嬉さがカバーしてくれちゃって、ドキドキと心臓が飛び跳ねてるのに幸せ。
「馬鹿になんかしていません。俺はあなたが可愛くてたまらないんです」
「っ、」
パンにジャムを塗らずに待ってたのも。
フルーツを自ら手にすることなく大人しくしていたのも。
ぜんぶは今のため。
こうして訪れる人を待っていたからだ。
「じゃあハヤセ…、今日からわたしの執事に戻ってくれるの…?」
「俺は少し出かけていただけですから。ですので今、帰ってきました」
「で、でも…お姉ちゃんは…?」
「アリサ様は御子柴さんを執事にするそうです」
「え!?そーなの!?」
そんなの初耳だよ……!!
えっ、お姉ちゃんがおじいちゃんを執事にするの……!?
びっくりだ……なんかもうびっくりだ…。
「妹がお世話になった方であれば尚更放っておけないと言っておりました」
お姉ちゃん…。
またお礼言っておかないと。
あたたかな空気の中でコクンとうなずくと、ハヤセは改まった。