俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
*・epilogue*・
「あっ、待ってっ!こんなところにいたら危ないよ……!」
迷い込んだ野良猫は追いかけてくる人間に楽しくなってしまったのだろう。
遊ぶようにひょいひょいとすり抜けて、広い洋館を目一杯駆け抜けた。
そんな1匹を追いかける高校2年生の秋。
ガッシャーーンッ!!
「止まりなさい柊さん…!あなたまた花瓶を割ったわね問題児……!!」
「わぁっ!ごめんなさーーいっ!!」
ぐらっと傾いて割れた花瓶。
野良猫は気にすることなく、ただ飛び散った水から逃げるように逃げ足を加速させた。
「きゃあっ!!」
「ひゃあっ!猫よ!!ちょっと学校に入れたの誰なの……!!破壊神ね!?」
通りすぎる女子生徒のスカートがふわっと上がって、普段隠れた中身が見えたことに執事は一瞬“ラッキー”なんて顔。
だけど野良猫もわたしも構うことなく追いかけっこ。
「柊 エマ…!!お前は何をやっとるんだ…!上品かつおしとやか!それがスタ女の校則だろう!!」
「あっ!学院長…!お願い猫ちゃん捕まえてっ!!」
「はっ?猫…!?」
またカツラを変えたらしい学院長は通せんぼをするように向かい合う───けど。
猫の身体能力とやらをナメちゃいけない。