俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「このっ!大人しくせんかっ!!野良猫めっ!!うわっ、あっ…!!」
ツルッ───!
捕まえようと強引に腕を伸ばした学院長の腕、ひょいっと乗っては肩まで移動して。
シャーーッ!!と鳴いたかと思えば、新しい海藻を剥ぎ取ってしまった野良猫。
「……あ。」
フサフサだった学院長が一瞬にして爽やかな学院長に戻ってしまった…。
「なにをやっとるんだひいらぎぃぃいいいい!!!」
「えっ!?なんでわたし…!?今のは確実にわたし関係ないもんっ!!」
「お前が猫を連れてるからこうなったんだろう!!!責任を取れぇぇええええ」
うわぁぁぁぁぁすっごい追いかけて来てる……!!
責任って…それは責任でどうこうなる問題じゃないのにっ!!
「つかまえ───たっ!」
ミャーーと、今度は可愛らしい声が腕の中に響いて、どうにか無事に捕獲。
それだけでぜんぶ許せてしまう愛らしさは動物だけなんだろうと。
「もう迷い込んじゃだめだよ?この先にクロとシロっていう先輩がいるから仲良くしてもらってねっ」
キャットフードは今日の放課後から3匹分に増やさなきゃ。
そっと地面に下ろすと、野良猫はスリスリとすり寄ってはお礼を返して去ってゆく。