俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「ふぅ…。なんとか一件落着、」



───では、なかった。


割れた花瓶、飛び散った水。

お怒りの理事長、女子生徒たちの真っ赤な顔、学院長の怒り狂う形相。

そんなものがじりじりとわたしに向かってきているよう……な。



「へへ、猫ちゃんは無事に帰還されましたっ!任務成功でありますっ!!」


「なにが任務成功ですか!!あなたは入学してから幾つ花瓶を割ったと思っているの!!」



あっ、えっと……。
数え切れないくらい…です…。

ピシッと決めた敬礼は情けなくもふにゃりと崩れた。



「あんたのせいで他の執事にパンツ見られたのよ!?」


「こんな恥ずかしい思いしてお嫁になんか行けないわっ!!」



えぇ…、パンツ見られただけでお嫁に行けないっていうのはさすがに言いすぎじゃないの……。

あぁそうだ。

ここは桁違いのお嬢様ばかりが集まる、花嫁修行のためにあるような学校だったっけ…。



「ひいらぎぃぃいいいい!!!」


「が、学院長……」


「昨日変えたばかりなんだぞ!!猫に引っ掛かれてボロボロじゃないか…!私の命だというのに……!!」


「大丈夫だよ学院長っ!!だからわたしが油性マジックでっ」


「黙れぇぇぇええええ!!!」



わわ…っ!

なんか火に油を注いじゃった……ぽい…?



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