俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「ハヤセ!わたしキーパーやる!へへんっ、ぜったい入れさせないからっ!!」
「お、言いましたね。俺も容赦しません」
1対1で向かい合う。
スラックスや靴に砂が付着してしまっていても、ハヤセは怒らないどころか気にもしていない。
むしろ楽しそうなのだ、今も。
「───………え、」
あれ……、え…?
気づけばわたしのうしろ、ゴールネットにはボールが入っていた。
「えっ、瞬間移動!?音しなかったよ!?見えなかったもんっ!!」
「俺に1点ですね」
「いやいやズルいよ!なんかズルいそれ!!」
「言ったでしょう?容赦しないって」
いやいや容赦とかのレベルじゃないよこれ……!!
こんなの超能力だ、異能だ。
……さすがSランクだ。
こんなところでも実感させられてしまうとは、見たか下級執事ども。
「すげぇ……、まったく見えなかった…」
「超人かよ、あのひと…」
「そりゃイタリア帰りだからな。本場は違うな、やっぱり」
そんな人が本当にわたし専属の執事となってしまったらしい。