俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「んじゃあ今度わたしねっ!行くぞーーー!」
「お怪我はなさらないでくださいね」
「それはこっちの台詞だっ」
ニッといじわるに笑ってみれば、ハヤセはゴールネット前で構えた。
そんなPK戦。
さっきはあんなにも簡単に入れてくれちゃったから、わたしだって仕返しだ。
「よーーしっ、───そこだっ!」
コースをバッチリ定めて、ボールをじっと見て、一点に集中。
大きく動かした足のつま先、ポーーンッと飛んだボール。
なぜかあらぬ方向へ飛んで行ってるような気が……。
「あ……つま先で蹴っちゃった、」
バコンッ───!!!
それは少し遠くに立って、ファイル片手にペンを動かしていた体育教師。
そんな中年男の顔面に綺麗にクリーンヒット。
「こぉっら…ひいらぎエマぁぁああ!!」
「わっ!えっ、わざとじゃないよ先生…!!」
「なにしてんだお前は……!!どんなコントロールしてるんだ……!!」
先生はそれはもう激おこ。
ぷんすかぷんすかと、頭から湯気でも出てるんじゃないかってくらいに。