俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「エマお嬢様、お怪我はありませんか?」
「…うん」
彼は窓ガラスが割れる前にわたしの傍にきて、万が一破片が飛び散らないようにガードしてくれていた。
ハヤセにも謝らなきゃ…。
だってわたしがサッカーしようなんて誘わなかったら、こうなってなかった。
「エマお嬢様、今度近くの公園に行ってサッカーしましょうか」
「ううん、しない」
「先生はああ言っていましたが、誰よりも授業に忠実だったのはエマお嬢様ですよ」
「…そんなことない。結果怒られちゃってるもん」
元気を出させようとしてくれるハヤセ。
その夜も落ち込むわたしにずっと話しかけてくれていた。
豪華な夕食を一緒に食べてくれて、課題だって紳士に教えてくれて。
それでもわたしの元気は出ないまま。
「エマお嬢様、あなたが元気でなければ俺の元気も出ません」
「…だってまた“破壊神”って言われちゃった…、」
寝る前のデザートとしてメロンが差し出されて、湯上がりのわたしは大人しくダイニングテーブルの椅子に座る。
丁寧にカットされたメロン。