俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「はい、もちろん制作中です」
そんな返事がすごく嬉しかった。
ぱあっと分かりやすいくらいに表情に出ていたんだと思う。
ハヤセは微笑んだ。
「その子はどんな子なの?9歳ってことは…ハヤセの妹とか?」
「…いえ。その子とは、その1回しか会ったことがなかったんです」
「そうなんだ…。でも四つ葉を貰ったってことは、その子にとってもハヤセは大切な人だったんだね!」
「…そうだと…いいな」
思い出を甦らせている執事は、執事というよりは1人の青年のようで。
わたしはどちらかというとやっぱり堅苦しいのは苦手だから、今の空気感のほうが好きだ。
「俺は代々執事として仕える家系の末っ子に生まれて、小さい頃はずっと執事なんか嫌だと思っていたんです」
「え、そうなの…?」
「ええ。昔は逃げてばかりで泣いてばかりいました」
「でもそれで首席で卒業しちゃうなんてやっぱりすごいねっ!」
才能ってあるんだよ。
少なくともハヤセは執事の才能があったってことだ。
でも才能だけじゃなく、誰よりも努力してきたんだろうなぁ…。