俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
ハヤセが差し出してきたのは、タンクトップ型でハーフパンツとなっている、それはもう泳ぐためにあるような水着。
「こちらは伸縮性も抜群ですよ。では購入してきますね」
「あっ!ちょっと!待てハヤセっ!おいこらっ!!」
っていうか、いつもどおりの顔で女の子の水着ショップにきて水着を選んで。
今だって何食わぬ顔でレジカウンターへ向かって行ってるあいつは何者だ。
恥ずかしさとか無いのかな…。
「もーっ!ビキニが良かったのに…」
「…それでしたらいつか、」
「ん?いつか?」
「……いえ。なんでもありません」
ハヤセってこーいうところがある。
いつも言いかけて誤魔化して、本当はすごく気になるのに聞けないわたしもわたし。
とりあえず買い終えて繁華街を並んで歩いていると、それはもうわたしが憧れていたお店を発見してしまった。
「ハヤセっ!ここ行きたいっ!」
「…ファミレス、ですか」
「うんっ!いこ!行こーよ!!」
それは地味に初めてだった。
本当は公立高校に通ったら、こんな放課後があったというのに。