俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
その言葉を耳にした途端、一瞬にして立場が逆転。
ガタッと立ち上がる勢いで「超お嬢様学校じゃん!!」と、ひとりの女子高生は叫んだ。
「えっ、じゃあ執事ってこと!?あんなにイケメンな執事が付くの!?」
「スタ女の生徒がなんでこんなところに……!?」
そしてその騒ぎを止めたのもハヤセ。
あまり波風は立てないように───と、意味を込めて彼女たちに優しい会釈をひとつ。
その動作だけで本物だと分からせてしまったのだろう。
すぐに静かになって、しばらくすれば来店したときのような賑やかさに戻った。
「ありがとうハヤセ…。でもなんかごめんね」
「どうして謝るんですか」
ハヤセはどこか嬉しそうだ。
だって一緒にいて恥ずかしいかなぁって、わたしだっておしとやかにできるものならしたいんだよ。
でも性格って中々変えられなくて、わたしは小さなときからこんな感じだったから。
「子供らしく無邪気、それもエマお嬢様の素敵なところです」
そう言ってくれる人が1人でもいるだけで全然ちがう。
それもその1人が、どんなに大人数だとしても敵わないくらいだから。