俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
なんて、ふざけて言ってみた。
差し出したスプーンにはパフェがこんもり乗っている。
「っ!」
形の良い唇が半開きのまま近づいてくる。
その反動で落としちゃわないように、少し身を乗り出したハヤセはわたしの腕を掴んで支えた。
まさかパクっとされるとは思っていなく、方針状態。
「ん、美味しさが倍増されました」
「……ばいぞう…?」
「この意味が分かりますか?」
わからない、ここは分からなくていい。
わからないふりを続けるのだエマ。
「わ、わからない…!うん、わからないっ」
「では分からせてあげてもいいですか?
…マンションに帰ったら」
「だ、だめ!!またほっぺた引っ張るんだからっ!」
「あれはお仕置きですから。でもいま俺が言っていることは、そうじゃない」
……逸らす。
わたしは彼の目を余裕で逸らしてやった。
その目は合わせちゃだめだって本能が言っていたから。
たまにそうやって敬語が取れちゃうのも破壊力すごいってことに気づいてるのかな…。
破壊神よりすごいよそれ。
わたしの扱いが上手すぎるのに、こーいうときは困らせてくる執事ってどうなの───。