俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
わたしを上手く扱って、わたしが歩く道を作ってくれるのはいつもハヤセなんだよ。
「…ハヤセ。あのね、1個だけいーい…?」
「どうかされたのですか…?」
「なんかもう、すっごいイケメンすぎる…」
「……はい?」
プールと、ハヤセ。
水しぶきが飛んで毛先が濡れた、ハヤセ。
この場所にタキシード姿というギャップな、ハヤセ。
「ハヤセ格好いいよ、すごくね、うん」
「……ありがとう、ございます…?」
「うん。認めちゃって、もう」
たぶんわたし、いま頭がおかしくなってる。
ハヤセがいつも以上に格好よく見えて仕方なくて、こうして触れてくれることも嬉しくて。
「…エマお嬢様もすごく可愛いです」
「それはないよ、ないないっ」
「ふっ、どうして自分のことになるといつもそうなのですか」
「本当のことだもん。きっとお姉ちゃんを見たらもっとそう思うよ」
まだ面会はできないけど、必ずまたこの学校に戻ってきてくれるから。
そのときわたしはもうスタ女にいる意味が無くなっちゃうのかな…。
それは嫌だなぁって、その理由は1つだけだ。