俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「掴まって!!」
「嫌よ…っ!破壊神なんかに頼りたくないわ……っ」
「言ってる場合か!!溺れて死ぬか生きるかの2択なの…!!」
こんなときまでわがままなお嬢様を発揮してきた。
けれど渋々諦めたように、わたしの手を掴んでくれる。
わ……、やっぱり足がぜんぜんつかない…っ!
それくらい水準が深い場所だってこと。
「っ、重い、ちょっとは泳いでっ」
「…もう無理、」
「このまま一緒に沈んじゃうってば…っ」
水の重さも加わって、人間ひとりを助けたまま一緒に泳ぐことはかなり難しいらしい。
ちょっとだけ危機感が出てきた。
どんどん身体が沈んでいって、口の中に水が今にも入ってきちゃう……!!
「ハヤセ…っ、」
その隙間から精一杯呼んだ。
彼はそれ前にわたしを助ける気だったようで、すでにジャケットとベスト、ワイシャツを脱いで上半身裸となっている。
鍛え上げられた艶々しい肉体美、そんな姿を見てこんなときでさえもキャーキャーうるさい声。
「お前も行け」
「えっ、うわぁっ!!」