俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「ハヤセっ、ハヤセ、あの、肌がね……っ」


「…どうかされたのですか?」



どうかされたのですかって……。

そっと二の腕を掴まれてるし、背中にも回ってるし…。


うわわわわっ!

なんかすごく良い匂いするもん…っ!!



「プール楽しいですね、エマお嬢様」



水準が深かったとしても彼は問題ないみたいで。

スイスイ移動してゆくけど、なぜかプールから出ようとしないハヤセ。


それどころかわたしを抱えながら楽しむように泳いでる気が…。



「ハヤセっ!向こうのほうにも行ってっ!」


「かしこまりました」



なんか楽しくなってきた。

わたしだって本当はこんなふうに誰かと一緒に楽しみたかったもん。


でも…友達がいないから。

だからやっぱりわたしにはハヤセがいてくれればそれで十分っ!



「温水プールも気持ちいいねっ!大きな温泉みたいっ!」


「ええ、ですが上がったあとは風邪を引かないようにしてくださいね」


「うんっ」



ぎゅっとハヤセはわたしを抱えたまま水中散歩。

ぷかぷか浮いているわたしたちを見たクラスメイトの羨ましがる声が聞こえてくる。


そんなものに「へへんっ」と勝ち気に笑ってやれば、頭上からくすっと落ちてくる。



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