俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「ぅひゃっ!は、ハヤセっ!そこくすぐったいから触らないでっ」


「…無理です。俺が離したらエマお嬢様が溺れてしまいますから」


「そーじゃなくて!そこ嫌なのっ」



腰をつうと、撫でるように移動されて。

ビクッと反応したわたしに、もう1度同じようにしてくる意地悪な男。



「もうっ!ハヤセっ」



濡れた髪とか密着する身体とか…。

もういろいろが大変なんだから追加しなくてもいいのに……!


でもやっぱりファミレスのときもそうだけど、わたし以上に楽しんでるのはハヤセな気がする。



「水着、かわいいですよ」


「っ!」



さっきはライフセーバーだとか格好いいとか言ってきたくせに…。

こんな至近距離でわたしにだけ伝えるように甘い声で言ってくる。


策士だ、すっごくズルい男だ…。



「な、なに、来年はビキニにするもんっ」


「それは駄目です」


「なんでっ」


「言わせるのですか?」



だめ、もう何も言わないほうがいいかもしれない…。

ここは黙ってハヤセの言うとおりにしておこう。



「エマお嬢様、もう2度と先ほどのようなことはしないようにしてください」


「…人助けしただけだもん」


「俺の心臓が持たないんです」



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