俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
無事に九条さんを助けた碇という執事。
そしてびしょ濡れになりながらもプール脇にて、ハヤセは今度わたしを優しく叱った。
「次から似たようなことが起きた場合は、俺に命令をしてください。そうすれば俺は動きます」
「それは嫌っ」
だってそしたらハヤセは他の女の子を助けちゃうってことだ。
どうしてわたしがそんな命令を自らしなきゃいけないの。
そんなことするくらいなら、だったらわたしが助けに行く。
「…どうして嫌なのですか?」
そしてこれまた髪の濡れたイケメンが覗き込んできた。
あれ…?
わたし、嫌って言葉に出ちゃってた…?
「えっ、いや…だってっ、」
「だって?」
「んっと、えっと、わたしライフセーバーだから…!!」
「……」
これはハヤセが言ってくれたことだ。
よかった、言い逃れの口実を見つけられて。ん…?口実…?言い逃れ…?
わたしは何をさっきから言ってるの…?
「…ねぇ破壊神、」
そんなわたしの元に、溺れたお嬢様は向かってきた。
拗ねるように口を尖らせている。