俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




ハヤセの言うとおり。

ハヤセの言うとおりにしてれば、大丈夫。



「少なからずあなたも感謝の気持ちがあるから、エマお嬢様に何かを伝えにきたのでは?」


「っ、」



そう言われて意を決したように九条さんはわたしの前に立った。


モカカラーをした長いロングヘアは、顔回りの束だけぱっつんと切り揃えられるようにお姫様カットされていて。

前髪も同じようにぱっつん。

ずっと思っていたけど、この人のそんな髪型はすごく可愛いと思う…。



「あ、ありがとっ!!」


「……え、聞こえなかった…もう1回」


「はあ!?調子に乗らないでよね……!!」


「俺も聞こえませんでした。もう1回お願いします」



ここで早瀬 真冬の手も加わって。

そうすれば断れないお嬢様。



「た、助けてくれて…ありがとうって言ったのよ……!!!」


「うんっ!!」



すぐに返したわたしの返事。

ホッとしたように、少し嬉しそうなクラスメイトの顔があった。



「り、理沙も…もう溺れちゃだめだよっ!」



呼んでみた、どさくさに紛れて名前で呼んでみた。



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