恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)

彼との出会い

<礼智との出会い・1>

礼智との出会いは
私が調理・製菓の専門学校の助手
として、働いていた時だった。

その学校は調理師免許取得の夜間コースがあり、
私は昼間はお菓子屋さん、夜はその学校の夜間の実習助手として働いていた。

奨学金の返済もあったし、
間近に見る事のできる先生の技術は、本当に勉強になるからだ。
もう一つ大事な事があった。

コンクールの受賞歴が、今後就職活動で必要になる。

海外の一流と呼ばれる店で働くのも、それなりの実績がなければならない。

片づけが終わった後に
<コンクール向けの試作をしてもいいよ>と、
学校から許可をもらえた事も大きかった。
それに先生のアドバイスももらえる。

帰宅は深夜に及ぶ事も多かった。
祝日で学校が休みの時も、
実習室を使わせてもらえることはありがたかった。

その日は祝日で、学校には誰もいないはずだった。

「こちらが、生徒の製菓実習室になります」
廊下の先で、校長先生の声が聞こえる。
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