恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)
<蜜月期・2>

「例えば、ウェディングならこんな感じにするんじゃない」

彼は教室のホワイトボードに、
素早くケーキのイラストを描いた。

私はそれを見ながら、
実際にお皿にケーキをのせてソースや花、果物を飾り付けていく。

彼の考案するアシェットデセールは、本当に美しく華やかだ。

「すごい・・きれい・・」

一切れのなんとも普通のケーキが、
彼の手にかかるときらめきを放つから不思議だ。

マジパンやあめ細工も、魔法の輝きを見せる。

でも、彼が作るわけではない。
作るのは私だ。

色どりと位置決めをして、デザインするのが彼の才能なのだ。

「あの、
コンクールのケーキの飾りつけ、
一緒に考えてもらえないですか?」

私は下心なく、真剣にお願いしてしまった。
「うん、いいよ。これってすごく楽しいね」
礼智は笑顔で、答えてくれた。

蜜月期は最高だった。
礼智のデコレーションアドバイスもあって、
コンクールでは3位を取れた。

そしてその夜、私と礼智は結ばれた。


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