恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)
<さび猫との遭遇・4>

私の少し前の草むらに
隠れるように、小さな塚が崩れかけていた。

「なに・・?これ?」

「何かの(ほこら)かも・・
触らないほうがいいよ。
祟り(たたり)があるかも」
母が近づいてきた。

その祠は、
屋根が崩れかけていたので、
私は石を少し押して直し、周囲の草を抜いてきれいにした。

祠の柱に<猫>と刻んである。
蛇よりましか・・

この家の代々の猫たちのお墓かもしれないな。
ギリシアでは、猫は家を守るという言い伝えがある。

「お疲れ・・もう腰が痛いし・・
いいよ。終わりにしよう」
母が笑って声をかけてくれた。

「サビちゃん、ご飯食べにくるかな?」
「そうね、玄関前に出してやれば、いいかも」

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