恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)
<不幸の連鎖・第2弾・その4>

「私・・帰るわ!」
「待てよ・・」
礼智は、いきなりの私の行動に
おろおろした声を出した。

私はずんずん歩く。
痛みをがまんしても歩く。

礼智は追いかけてこない。
支払いをカードでしているのだろう。

ホテルのエントランスには、
タクシーが客待ちでたくさん止まっていた。

私は躊躇(ちゅうちょ)なく乗り込んで、おばあちゃんちの住所を言った。
自分の家には帰りたくなかったから。

タクシーがホテルから遠ざかる。
夜景が、街路灯が、ビルの明かりが、車のテールライトが流れていく。

夢の世界が流れて消えて行く。

「高速使っていいですか?」
運転手が聞いてきたので、私は答えた。
「はい、お願いします」

私は車の後部座席に寄りかかり、
ピンヒールの靴を脱いだ。


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