恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)
<不幸の連鎖・その4>
<結婚式場>

車はホテルの前の道路で止まった。
ホテルのエントランスは
羽織・袴と着物姿の人が多い。
伝統ある老舗(しにせ)和菓子の世界・・

いまさらここに来ても、もうどうしようもない・・・
わかっている。
でも、確認したかった。
礼智の隣に立つ女性が・・・
どんな人なのか。

私は出入りの業者のように、壁際をそさくさと歩く。
ホテルのブライダルは経験したことがあるので、何となく場所の見当がつく。

私はホテルのスタッフに、声をかけた。
「あの・・刈谷さんのところに・・納品があるのですが・・」
従業員はにこやかに
「今、お色直しが終わったばかりだから・・披露宴会場に移動されてますよ」

「ありがとうございます」
2階に上がる階段を急いで上がると、
クロークのカーテンの陰に隠れるように、ロビーを見回した。

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