恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)

ねこ神・ねこ神

<ねこ神と私の心・その1>

夕方、気が付いたらおばあちゃんちの玄関に立っていた。
植木鉢の下・・鍵・・
玄関の引き戸がガラッと開いた。
「お帰り、みれい」

ねこ神が立っていた。
彼は黒縁眼鏡、濃紺のスーツと
臙脂色のネクタイを締めていた。

私はやっと口を開いた。
口の中が渇いて、言葉がうまく出ない。
「あのさ・・私の願いが・・
かなったんだよね」

礼智の経済感覚・・は変化した。
彼は語学と美意識を武器に、
これから大寅屋さんの入り婿として活躍するのだろう。
将来は
社長にでもなるのだろう・・・

彼は、私が考えるよりも、したたかだったのだ。

「そうだね」
ねこ神は少し皮肉っぽく言った。

「トイレ行く・・・」
私は玄関をあがり、
ねこ神の横をすりぬけようとした時、よろめいた。
ねこ神は素早く、腕を抱えてくれた・・・・

その瞬間だった。
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