恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)
<ねこ神と私の心・その3>

寝て、起きて、何か食べて、テレビを見て、買い出しに行って、
夜はねこ神と晩酌する。
そんな日々が続いた。

お菓子への情熱も灰になった。
私は段ボールに菓子のレシピや
資料をすべてつっこんで、
ガムテープでぐるぐる巻きにして納戸につっこんだ。
礼智からの高級財布も、一緒に封印した。

毎朝、目が覚めると、
サビのモフモフ尻が顔にくっついている。
そのお尻を、ポンポン叩いてから起き上がる。
気が付くと、私はおばあちゃんちに住んでいた。

スーパーで偶然、施設の職員さんとあった時、厨房の仕事のバイトに誘れた。
そのまま、すぐに承諾した。

季節の移ろいと共に、日常の生活が回っている。

ある日、
仏壇の戸棚を整理していると、
とても古いアルバムが奥にしまってあった。
1枚のセピア色の写真に、目が止まった。

おばあちゃんの若い頃・・・
まだ女学生の時だろう。
三つ編みで可愛らしい笑顔の写真。

その隣に和服のイケメン兄ちゃん・・・
桜田家のねこ神、サビの姿・・・

ツーショット写真だった。
私はその写真を、自分の手帳に挟み込んだ。

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