恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)

小さな違和感

<小さな違和感と格差についての考察・1>

都内の一流ホテルのエントランスに、時間ぎりぎりでタクシーがついた。
仕事をなんとかやりくりして、
それでも時計は19時ちょうど。

タクシーの後部座席から、彼の姿が見えた。

彼・・刈谷礼智(かりや らいち)

エントランス前に立っている彼は
高級ブランドのスーツで、
遠目から見ても目立っていた。

身長があり、姿勢がよい。
品のいい御曹司様だ。

私はタクシーから降りるのに、
気おくれしてしまう。
自分の服装、靴、バック、髪型・・・
礼智と並んで問題がないかどうか。

今日は仕事終わりだったから・・・
時間がなくて、美容院に行けていない。

その日は、私のお誕生日会と称して、
都内の一流ホテルのレストランディナーを予約してくれた。
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