恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)
<違和感・格差の考察・2>

私一人ではとても行けない場所。

背伸びして、精いっぱいおしゃれして、髪もくるくるに巻いて。

靴ずれができるのを、わかっていながら、華奢なヒールをはく。

仕事でついたやけどの跡の残る
手首、包丁の傷はできるだけレースのショールで隠す。

ネイルはしない、爪は短く切ってある。香水もつけない。
飲食の働く基本だ。

礼智が先に、
タクシーから降りる私を見つけてくれた。
「今日はみれい・・すっごくきれいだ」
彼は歯が浮くようなセリフも、
まったく普通に言う。

インターナショナルスクール育ちだからか。

エスコートも申し分なく、お姫様気分にさせてくれる。

そう、彼は優しい王子様だ。
私が気おくれするほどの・・・

そう思いつつ、
タクシー代金の2300円についてため息をついてしまう。
地下鉄ならもっと安くすむ・・
家賃の支払いがぁ・・

夢の世界と現実の金銭感覚は、
いつもなやましく、きっ抗するのだ。

私は、どうもお姫様にはなれないようだ。
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