振り返ると、あなたは
蓮の家は母子家庭だったはず。お父さんとはもう離婚してるし、大変だな……


「あの、俺行きましょうか?」俺は言った。

「でも……」とお母さん。

「大丈夫です。今はほとんど
授業ないですし」

「……そう?」お母さんは言った。

「結月ちゃん」俺は少女の名前を呼んだ。

「ちゃん、は、いらない」

「そっか、結月。これから陽翔が迎えに行くからね」俺は言った。

「うんっ」



優しい雨の続く中、
俺と結月との物語が、静かに動き出した。
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