振り返ると、あなたは
「実はね、うち、ある人と再婚することにしてん。いい機会やし、結月のこと、引き取ってもらえへんやろか」

「引き……取る……?」俺は答える。

「かまわんか?」

「結月、ちょっと部屋行ってて?大人の話するから」





こんなに感情的になったのも、人のことを、それも女性に怒鳴ったことも人生で初めてだった。

結月の母は、怒鳴られても何も言い返さず、毅然とした態度で「かんにんえ」と言っていた。




「おはなし、おわったの?」
ドアをノックすると結月が聞いた。

「うん。結月、はるとと一緒に、暮らせるよ」と俺は笑った。

「わーい!はるとといっしょだ!」


結月が俺の部屋に転がり込む日程だけを押さえて、俺は足早に家を後にしたのだった。
< 43 / 46 >

この作品をシェア

pagetop