ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 ぽろぽろと、涙がこぼれた。
 傷付いて、まぶたを薄っすら開けるルキくんの頬をぬらしていく。

「いや、ルキくん、死んじゃいやだよ。どうしたらいいの? どうしたら……」

 赤く染まった手が、私の頬にそっと触れる。

「気付いたら、体が動いてた。初めてなんだ。絶対に、守らないとって……思ったのは」

 ……ルキくん。
 胸が熱くなって、弱っていく体を強く抱きしめた。

 やっと、心が通じ合えたのに……。

 まわり全体が、フッと影になる。顔を上げたときには、ドラレス伯爵が宙を飛んでいた。

「もうよい。晩餐会は終わりだ」

 手をかまえている。やられる!

 ぐっと目をつぶって、ルキくんを抱きしめたとき、ドガっと鈍い音が耳に入った。

 影楼先生が、腕で攻撃を止めている。

「失礼しかまつります。私がお相手になりましょう」
「今や執事のぶんざいで生意気だのう、カゲロウよ」

 壁や天井を行き来しながら、早すぎる2人の状況はすでに見えない。
 ノエルくんとレイ先輩も、ナチと闘い始めてしまった。

 私のせいで、みんなが死んじゃう。
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