ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 目を覚ましたルキくんが、倒れ込む私を抱き支えてくれる。

 はいずりながらもがくナチと、胸を押さえながら動けなくなるドラレス伯爵。その姿を見守って、まぶたが落ちていく。

「どうしてこんなこと……! 守りたいって、言っただろ……」

 苦しそうに、ルキくんが私の手を取る。とてもあたたかい。

「私も……みんなを、守りたかった。これで、ぜんぶ……終わる」

 目の前がかすんで、呼吸が小さくなってきた。

「ジュリに出会って、初めて知った。誰かを想うこと。こんなに胸が苦しくなること」

 肩を抱きながら、ルキくんがおでこを合わせる。
 その言葉を聞けた私は、世界一の幸せ者だ。

 ノエルくんが近付いてきて、ほとんど意識のない私に視線を落とす。

「黒呪団は封印されたのに、もやもやするのはどうしてかな。全然、嬉しくないや」

 震えながら手を伸ばすと、優しく掴んでくれる。やっぱり、ノエルくんとも友達になりたかったな。
< 152 / 158 >

この作品をシェア

pagetop