ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
魔除けのアミュレット
「樹里ちゃん、また明日ね〜」
「バイバイ」
優希ちゃんと別れて、下駄箱を開ける。ローファーがない。入れ間違えたかな、と他を見てみるけど見当たらない。
まさかと玄関の角にあるゴミ箱をのぞく。中からゴミにまみれたローファーが出てきた。
「……あんの人でなし!」
靴裏を合わせてパンパンはたくと、土けむりとほこりが舞い上がる。
いつまでこの状態が続くのだろう。
学校を出て、丘への階段を上がる。しばらく歩いて行くと、森の手前で人が倒れているのが見えた。
急いで駆け寄ると、深みのある茶髪をした同い年くらいの男の子が足をかばって苦しそうにしている。
「大丈夫ですか? わっ、血が……!」
足に大きな傷を負っていて、出血が多い。
とにかく止血しなければと、制服のポケットからハンカチを取り出して傷口に当てた。
「……痛っ」
男の子の顔が険しくなる。
「どうしよう……どんどん出てくる。あっ、救急車!」
思い出したようにスマホを取り出すと、ガシッと腕を掴まれた。
「ダメだ……呼ばないで」
「えっ? でも、血が……」
電話をしようと画面を触るけど、真っ暗で何も反応しない。まだ充電はあったはずなのに、どうしてこのタイミングで?!
いくら電源を押してもつかない。
早くしなければと、うろたえていると。
「……ありがとう。もう、大丈夫。名前、なんて言うの?」
傷口を押さえながら、男の子が息を吐きつつ尋ねた。
「樹里……ですけど。そんな話してる場合じゃないよ」
誰かに助けを呼ぼうにも、この辺りはおばあちゃんの家しかない。
「バイバイ」
優希ちゃんと別れて、下駄箱を開ける。ローファーがない。入れ間違えたかな、と他を見てみるけど見当たらない。
まさかと玄関の角にあるゴミ箱をのぞく。中からゴミにまみれたローファーが出てきた。
「……あんの人でなし!」
靴裏を合わせてパンパンはたくと、土けむりとほこりが舞い上がる。
いつまでこの状態が続くのだろう。
学校を出て、丘への階段を上がる。しばらく歩いて行くと、森の手前で人が倒れているのが見えた。
急いで駆け寄ると、深みのある茶髪をした同い年くらいの男の子が足をかばって苦しそうにしている。
「大丈夫ですか? わっ、血が……!」
足に大きな傷を負っていて、出血が多い。
とにかく止血しなければと、制服のポケットからハンカチを取り出して傷口に当てた。
「……痛っ」
男の子の顔が険しくなる。
「どうしよう……どんどん出てくる。あっ、救急車!」
思い出したようにスマホを取り出すと、ガシッと腕を掴まれた。
「ダメだ……呼ばないで」
「えっ? でも、血が……」
電話をしようと画面を触るけど、真っ暗で何も反応しない。まだ充電はあったはずなのに、どうしてこのタイミングで?!
いくら電源を押してもつかない。
早くしなければと、うろたえていると。
「……ありがとう。もう、大丈夫。名前、なんて言うの?」
傷口を押さえながら、男の子が息を吐きつつ尋ねた。
「樹里……ですけど。そんな話してる場合じゃないよ」
誰かに助けを呼ぼうにも、この辺りはおばあちゃんの家しかない。