ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
人で賑わう昼休み。食堂でAランチを食べていると、背後から刺すような視線を感じた。
ちらりと振り向くと、芦屋さんが凄まじい剣幕でこっちを見ている。何か言いたそうに、ガリガリと箸の先をかじって。
慌てて顔を戻すけど、まだ背中がジリジリする。なんだか恐ろしいものを見てしまった。
でも、今日は珍しく何もされていないし、暴言も吐かれていない。大人しくしているなんて、逆に気味が悪い。
ちょいちょいと手招きされて、優希ちゃんに顔を近付ける。
「笑里ちゃんたち、大人しくなったでしょ」
その耳打ちにドキッと心臓が鳴る。
たった今考えたことを、このタイミングで。この子、まさか心が読める?
「実はね」
「やっぱり読めるの?!」
いきおいで声に出てしまった。
「何言ってんのー?」とクスクス笑われて、優希ちゃんがまた手のひらでガードを作る。
「昨日、影楼先生が話したらしいよ。あんな噂信じなくていいって。いくら笑里ちゃんでも、先生相手じゃあ引き下がるしかないよね」
嫌われたくないだろうし、と私の後ろへ視線を向けた。
ガタンッと立ち上がる音がして、面白くなさそうに芦屋さんがテーブルを移動していく。
影楼先生、私のこと気にかけてくれたんだ。ここにも、味方をしてくれる人がいる。
我慢しようとしても、頬がゆるんでしまう。
定食のエビフライを頬張りながら、優希ちゃんがもごもごと口を動かす。
「それにさ、みんなあんなのを信じすぎなんだって」
「何を?」
「伝説……あれ、前話さなかった?」
「あっ、それ途中までしか聞いてない。ここからが重要って言って、終わっ……た」
コツコツ、と向こう側から誰かやってくる。ゆっくり視線を上げて、思わず息をのんだ。
真ん中で分かれた金の前髪が、歩くたびにふわりと揺れて、甘い香りを撒き散らしている。
ちらりと振り向くと、芦屋さんが凄まじい剣幕でこっちを見ている。何か言いたそうに、ガリガリと箸の先をかじって。
慌てて顔を戻すけど、まだ背中がジリジリする。なんだか恐ろしいものを見てしまった。
でも、今日は珍しく何もされていないし、暴言も吐かれていない。大人しくしているなんて、逆に気味が悪い。
ちょいちょいと手招きされて、優希ちゃんに顔を近付ける。
「笑里ちゃんたち、大人しくなったでしょ」
その耳打ちにドキッと心臓が鳴る。
たった今考えたことを、このタイミングで。この子、まさか心が読める?
「実はね」
「やっぱり読めるの?!」
いきおいで声に出てしまった。
「何言ってんのー?」とクスクス笑われて、優希ちゃんがまた手のひらでガードを作る。
「昨日、影楼先生が話したらしいよ。あんな噂信じなくていいって。いくら笑里ちゃんでも、先生相手じゃあ引き下がるしかないよね」
嫌われたくないだろうし、と私の後ろへ視線を向けた。
ガタンッと立ち上がる音がして、面白くなさそうに芦屋さんがテーブルを移動していく。
影楼先生、私のこと気にかけてくれたんだ。ここにも、味方をしてくれる人がいる。
我慢しようとしても、頬がゆるんでしまう。
定食のエビフライを頬張りながら、優希ちゃんがもごもごと口を動かす。
「それにさ、みんなあんなのを信じすぎなんだって」
「何を?」
「伝説……あれ、前話さなかった?」
「あっ、それ途中までしか聞いてない。ここからが重要って言って、終わっ……た」
コツコツ、と向こう側から誰かやってくる。ゆっくり視線を上げて、思わず息をのんだ。
真ん中で分かれた金の前髪が、歩くたびにふわりと揺れて、甘い香りを撒き散らしている。