ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 一瞬止まった手を、再び動かした。ロコモコ丼を食べ始めた私をじっと見て。

「今アホらしって思ったでしょ」
「なんで分かったの?!」
「顔見てたら、なんとなく」

 胸の内を見事に当てられて、申し訳なくなる。

 バカにしてると、バチ当たるからねー、と唇をとがらせて、優希ちゃんが肉にかぶりついた。

 バカにしているつもりはないのだけど、どうしても昔話に聞こえてならない。

「だいたい、悪魔って? 動物とは違うの?」
「知らなーい。でも、今回の連続殺人事件そいつの仕業って話もあるみたいよ? 親が話してるの聞こえた」

 引っ越して来てすぐあった刺傷(ししょう)事件。最近になって、また女性が襲われる事件が2つ起こった。

 全ての事件で首に刺された跡が残っているのに、みんな口をそろえたように覚えていないと言うらしい。

 たしかに、奇妙な事件だとは思っていたけど。

「信じてるわけじゃないけどさ、あんな事件が続くと、ちょっとね」
「……そうだね」

 しばらくして、それらの事件は同一犯でないと報道された。犯行時間や場所などから、複数犯の可能性があると推測されるが、捜査は難行しているらしい。
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