ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
休日の昼下がり。キッチンのオーブンを開け、おばあちゃんが焼けたシフォンケーキを取り出した。
ホイップしておいた生クリームを皿のすみに乗せる。甘い香りがして、眺めているだけでお腹が満たされそうだ。
「お姉ちゃーん、食べないの?」
キッチンから声をかけると、ソファーでぐったりしていたお姉ちゃんがムクッと体を起こした。
「よそ者が来たせいで、悪魔の血を目覚めさせた」
「……えっ?」
「クラスの人がそう言ってた」
言い伝えは、やっぱり白川学園だけじゃなかったんだ。でも、お姉ちゃんの高校は区域が違うはず。
シフォンケーキにフォークを入れて、おばあちゃんが生クリームをつける。
「こりゃ驚いたね。そんな昔話が、今の若者世代にも受け継がれているんだね」
パクりと食べながら、そうかそうかとうなずいている。
「この白川村には、いろいろな伝説があってね。その悪魔ってのは、何種類かの獣を例えにしているんだよ」
「……ケモノ?」
飲んでいたアイスティーがごくりと音を鳴らす。
この感じ、なんだろう。寒気がして、鳥肌が立ってくる。良くない知らせの前触れのような。
詳しく聞こうとしたとき、鳥のさえずりのような声が流れてきた。玄関のチャイム音らしい。
引っ越して来て、初めて耳にしたから分からなかった。
誰だろう。訪ねてくる人なんていないから、身構えてしまう。
警戒しつつ、おもむろに玄関のドアを開けると男の子が立っていた。
ふわっとした茶髪で、凛々しい目をした顔立ちの子。どこかで見たことがあるような。
ホイップしておいた生クリームを皿のすみに乗せる。甘い香りがして、眺めているだけでお腹が満たされそうだ。
「お姉ちゃーん、食べないの?」
キッチンから声をかけると、ソファーでぐったりしていたお姉ちゃんがムクッと体を起こした。
「よそ者が来たせいで、悪魔の血を目覚めさせた」
「……えっ?」
「クラスの人がそう言ってた」
言い伝えは、やっぱり白川学園だけじゃなかったんだ。でも、お姉ちゃんの高校は区域が違うはず。
シフォンケーキにフォークを入れて、おばあちゃんが生クリームをつける。
「こりゃ驚いたね。そんな昔話が、今の若者世代にも受け継がれているんだね」
パクりと食べながら、そうかそうかとうなずいている。
「この白川村には、いろいろな伝説があってね。その悪魔ってのは、何種類かの獣を例えにしているんだよ」
「……ケモノ?」
飲んでいたアイスティーがごくりと音を鳴らす。
この感じ、なんだろう。寒気がして、鳥肌が立ってくる。良くない知らせの前触れのような。
詳しく聞こうとしたとき、鳥のさえずりのような声が流れてきた。玄関のチャイム音らしい。
引っ越して来て、初めて耳にしたから分からなかった。
誰だろう。訪ねてくる人なんていないから、身構えてしまう。
警戒しつつ、おもむろに玄関のドアを開けると男の子が立っていた。
ふわっとした茶髪で、凛々しい目をした顔立ちの子。どこかで見たことがあるような。