ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
「おとなしく守られてればいいのに。どんくさい子」
「なに、それ?!」

 顔を赤くして声を荒げる。
 急に意味不明なことを言い出したのは、そっちなのに。

 理由も知らされずに、どこの誰が黙ってクラスの男子の家に泊まるって言うのよ?!

「状況が変わったんだ。今、1人でうろちょろされると危ない」

 男子だらけの屋敷に泊まる方が、よっぽど危険な気がするけど。これでも、一応女子だよ?

「だから……ちゃんとした説明を……」
「それとも、こうやって一晩中つかまえててほしい?」

 軽く腕を握られただけなのに、頬も体も熱くなって、わたしはぶるぶると首を振った。

 な、なに言ってるの、この人は!

 ふっと笑って部屋を出ようとしたルキくんが、一度振り向く。

「襲われたくなかったら、今夜はここから一歩も出るな。まあ、出させないけど」

 それだけ言い残して、ドアを閉めた。

 何を言ってるか、全然分からない。ちゃんといちから説明してよね。

 ソファーに倒れて、頬を触る。鼓動がうるさくて、体がすごく熱い。

 さっきの、何あれ。学校での素っ気ない態度と全然違う。

 強引で、俺様で、全然話が通じない。

 なのに、ーー一晩中つかまえててほしい?

「……あれは反則だよ」

 思い出して、また胸がドキドキしている。
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