ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 廊下を歩いていると、前から男子生徒が向かって来るのが目に入った。
 歩くたびに揺れる金の前髪に目を奪われる。

 あの人って、たしか前に食堂で見た……。

 鋭い視線といい、独特なオーラを身にまとう姿は、どこかルキくん兄弟と似ている気がした。

 見てはいけないと思いながら、なぜか目が離せない。あまり直視するのは、失礼だから。

 すれ違う瞬間、パチッと目が触れ合った。
 あっ、しまっ……た。

 口元がフッと笑って、

「ミツケタ」

 背後から、そう聞こえた。

 気になって振り返ると、男子生徒がこちらを見て笑みを浮かべている。
 キレイな笑顔と冷めた瞳のアンバランスが、違和感に思えて仕方ない。

「うまく隠れたね。おかげで、時間がかかったよ」
「えっ? 隠れる?」

 のぞき込まれた顔はとても大人っぽくて、同じ高校生に見えない。もっと年上と言われても、不自然じゃないくらい。

 それに、瞳も変わった色をしている。ブルーがかったグレーのような色味。だから、ルキくんたちと雰囲気がかぶるんだ。

「ずっと探してたんだ」
「あの……誰かと、間違えてませんか?」

 この前初めて見かけただけで、名前すら知らない。
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