ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
首をかしげたとたん、首筋に顔が近付いて高い鼻が触った。
な、なに……?!
固まって動けない体に、冷たい空気がまとわりつく。手足も口も、人形のようになって意味をなさない。
そんな状況のなかで、背筋がぞくっと震え上がるのだけは実感出来た。
叫ぼうにも、声が出ない。どうしたらいいの?
その人の首に黒い影が見えた。三日月の形をしたタトゥーだ。
掴まれている腕は、だんだんとしびれてマヒしていく。首にツンとしたとがった何かが当たった、そのとき。
「こら、こんな所で何してるの!」
向こうの方から三上先生の声が聞こえて、張り詰めていた糸がぷつんと消えた。
自由になった体は力が抜けて、床に崩れ落ちる。
舌打ちをした男子生徒は、一瞬にして塵のように消え去ったように見えた。
「廊下を走らないで! 小嶺さん、大丈夫?」
体を起こしてくれた三上先生に、しがみつく。
気のせい……だよね。人が消えるわけない。
でも、今起こったことは紛れもない事実。手足の震えが、そう言っている。
「体調が悪かったのね。もう大丈夫よ。少し休みましょう」
三上先生に抱き抱えられて、しばらく保健室で眠ったあとのことは、あまりよく覚えていない。
な、なに……?!
固まって動けない体に、冷たい空気がまとわりつく。手足も口も、人形のようになって意味をなさない。
そんな状況のなかで、背筋がぞくっと震え上がるのだけは実感出来た。
叫ぼうにも、声が出ない。どうしたらいいの?
その人の首に黒い影が見えた。三日月の形をしたタトゥーだ。
掴まれている腕は、だんだんとしびれてマヒしていく。首にツンとしたとがった何かが当たった、そのとき。
「こら、こんな所で何してるの!」
向こうの方から三上先生の声が聞こえて、張り詰めていた糸がぷつんと消えた。
自由になった体は力が抜けて、床に崩れ落ちる。
舌打ちをした男子生徒は、一瞬にして塵のように消え去ったように見えた。
「廊下を走らないで! 小嶺さん、大丈夫?」
体を起こしてくれた三上先生に、しがみつく。
気のせい……だよね。人が消えるわけない。
でも、今起こったことは紛れもない事実。手足の震えが、そう言っている。
「体調が悪かったのね。もう大丈夫よ。少し休みましょう」
三上先生に抱き抱えられて、しばらく保健室で眠ったあとのことは、あまりよく覚えていない。