ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 今日も、ルキくんの家でお世話になることになった。
 リビングで繰り広げられている家族会議。そこになぜか、私も参加しているのだ。

「噂は聞いてたけど、まさか校内に潜んでいたなんてね」
「そのマークに心当たりはあるか?」
「……さあ」

 顎に手を置いて考えるポーズをするルキくんだけど、ずっと話に集中出来ないでいる。

 彼らの私服が、中世のフランス貴族を思わせるブラウスに長ズボン。それが絵になるくらい似合っているの。

「……かなりマズイな」

 真剣な表情で、ルキくんがつぶやく。

「カゲはどう思う?」

「黒い三日月の刻印(こくいん)と言えば、ある組織団体をほうふつさせますが、今や亡きもの。風の噂によりますと、なにやらディモラム氏族が陰で動いているとか」

「ディモラムって、あのタチ悪い奴らでしょ? そんなのがなんで今さら?」

 ノエルくんが前のめりになっている横で、レイ先輩は黙って本に目を通している。

 誰かが話すたびに、私はその人へ視線を飛ばす。
 さっきから、なんの話をしているのだろう。ひとつも理解出来ない。

「……その辺りはなんとも。ですが、彼らの気配が強くなっていたのはたしかです。ルキ様が小嶺さまをかくまっていたのは、そのためです」

 影楼先生の話に、私はきょとんと目を丸める。

 それって、どういうこと?
 ルキくんは最初から、変な人が近づいてくることを知ってたということ?
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