ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
「オレで良ければ、話聞くけど」

 あたたかい言葉をかけられると、余計に目の前がにじむ。

「なにが正解なのか分からない。信じたいけど、疑ってる自分がいて。そんな自分が、ほんとは嫌だったり」

 歩くたびに、ころんと小石が転がっていく。

 いろんなことがありすぎて、頭の中がぐちゃぐちゃだ。上手く言葉に出来ない。

「悩むってことは、そいつのこと信じたいってことだろ? どうでも良かったら悩まない。なら、答えは決まってる」

 首をかしげると、イリヤくんはまっすぐ前を見たまま。

「納得するまで、そいつと向き合うしかない」

 逃げてばかりじゃダメなんだ。私はルキくんたちが嫌いなわけじゃない。
 もっと仲良くなりたいから、自分から知ろうとしなければいけなかったんだ。

「ありがとう! イリヤくんのおかげで、少し前へ進めそうな気がする」
「それは良かった。そういえば、あの耳飾りしてないんだ?」

 私へ視線を向けて、イリヤくんが自分の耳を指差す。

 耳飾りって、たぶん前にくれた水晶のかけらみたいなもののことだよね?

「あれ、やっぱりピアスだったんだね! なにか分からなくて。でもお守りとして持ち歩いてるよ」

 制服のポケットから出した白い袋のひもを広げて、きらんとピアスを見せた。
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