ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
「それ、付けててくれない?」
「私、ピアスの穴開いてなくて。でも気になるから、今度もし開けたら」
「今がいい」
真剣な表情をするから、少しドキッとした。そんな強引に言われると思わなかったから。
「それは……ちょっと。ほら、まだ穴開けなきゃだし。今は難しいって言うか」
手からピアスをつまみ上げると、イリヤくんが右耳にそっと触れる。
痛みはなくて、でもピアスが通り抜ける感覚が伝わってくる。すごく変な感じがした。
「えっ、何したの? 穴開いたの? 刺さった痛みないけど」
耳たぶに触れてみると、たしかにピアスはついている。
「穴が開いたわけじゃない。これは、そのへんの耳飾りとは違う。付けてなきゃ意味をなさないんだ。使わないに越したことはないけど」
意味の分からないことを言いながら、じっと見つめて。
「それが、きっと君を守ってくれる」
そのまなざしは力強くて、心強くもあった。
「……ありがとう」
家まで送ってくれると、イリヤくんは「じゃあ」と森の方へと消えて行く。
その背中が見えなくなるまで、私は手をふり続けた。
「私、ピアスの穴開いてなくて。でも気になるから、今度もし開けたら」
「今がいい」
真剣な表情をするから、少しドキッとした。そんな強引に言われると思わなかったから。
「それは……ちょっと。ほら、まだ穴開けなきゃだし。今は難しいって言うか」
手からピアスをつまみ上げると、イリヤくんが右耳にそっと触れる。
痛みはなくて、でもピアスが通り抜ける感覚が伝わってくる。すごく変な感じがした。
「えっ、何したの? 穴開いたの? 刺さった痛みないけど」
耳たぶに触れてみると、たしかにピアスはついている。
「穴が開いたわけじゃない。これは、そのへんの耳飾りとは違う。付けてなきゃ意味をなさないんだ。使わないに越したことはないけど」
意味の分からないことを言いながら、じっと見つめて。
「それが、きっと君を守ってくれる」
そのまなざしは力強くて、心強くもあった。
「……ありがとう」
家まで送ってくれると、イリヤくんは「じゃあ」と森の方へと消えて行く。
その背中が見えなくなるまで、私は手をふり続けた。